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被用者保険の適用拡大へ 税理士など『士業』も5人以上で対象に

2020/05/12

 「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律案」が現国会で審議中だ。

 同法案は、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図るため、厚生年金保険法や国民年金法、健康保険法、確定拠出年金法などを改正し、被用者保険の適用拡大、在職中の年金受給の在り方の見直し、受給開始時期の選択肢の拡大、確定拠出年金の加入可能要件の見直しなどを求めたもの。

 この中で注目されるのが、被用者保険の適用事業所の範囲の見直しだ。法人事業所の場合、業種や従業員規模にかかわらず被用者保険の適用事業所となるが、個人事業所については、法定された16業種のいずれかに該当し、常時5人以上の従業員を使用するものに限られている。法定16業種以外の非適用業種または従業員数5人未満の個人事業所は、適用事業所となることについて労使合意があった場合を除き、非適用となっている。

 
現在、この16業種には税理士などの士業は含まれていないが、昨年9月の「働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会」の中で、「従業員数5人以上の個人事業所は、業種ごとの状況を踏まえつつ原則強制適用とすべきではないか」との意見があり、特に士業などが非適用となっている合理性に関して疑問視する声があった。

 その後、厚生労働省の社会保障審議会年金部会において非適用保険の適用事業所の範囲の見直しに向けて議論が行われ、士業の法人化について「士業の法人割合が高くない要因としては、法人化に際して制度上一定の制約条件があるか、法人化がそもそも制度上不可能であることが関係している可能性がある」、「そのような特性を持つ業種を見ると、すべて法律・会計に係る行政続等を扱う業種であり、一般的に、被用者保険適用に係る事務処理能力が期待できる」として、該当する10の士業を適用対象とすることが示された。
 
 審議中の法案を見ると、「弁護士、公認会計士その他政令で定める者が法令の規定に基づき行うこととされている法律又は会計に係る業務を行う事業の事業所又は事務所であって、常時五人以上の従業員を使用するものについて、厚生年金保険の適用事業所とする」とされているが、同部会の資料によると、10の士業として弁護士、司法書士、行政書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、公証人、海事代理士が挙げられている。

 法定16業種の見直しは、昭和28年改正以来。同法案の施行日は令和4101日を予定している。

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